(メルマガ)虚構
- レポート
- 2017.01.15
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~成功の研究~
知って得する起業とビジネスのヒント
─────────────── 第181号
多様なビジネスの現場に深くかかわる公認
会計士・税理士の立場で、見たこと・得た
知識・感じたことを、特に起業を志す人や
スモールビジネスの経営者の成功につなが
るよう、楽しく・分かりやすくお届けしま
す。
なお、筆者執筆中の税理士法人ASC・
(株)エーエスシー・中村会計HPのA
SCレポート
(http://www.asc-report.jp/)との関係
は次の通りです。
1)月末:ASCレポートの一部要約版
2)月中:メルマガのオリジナル
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目次
■今回のテーマ:虚構
できる
■まとめ
■編集後記
___________________
『サピエンス全史』という本を読んでいま
す。
ビルゲイツやマーク・ザッカーバーグ、ホ
リエモンが絶賛しているという話だったの
で、ミーハー的に読み始めました。
その中で、現代の人間(ホモ・サピエンス
)が、すべての動物の頂点に立ち、かつ、
進化の過程で他の兄弟種であるネアンデル
タール人なども根絶やしにしてきた理由が
明らかにされています。
ここ1万年ちょっとの間だけは、ホモ・サ
ピエンスが唯一の人類種ですが、人類種に
は、ネアンデルタール人以外にも、ホモ・
ソロエンシス、ホモ・デニソワ等がいまし
た。
でも、私たちホモ・サピエンスだけが生き
残りました。
過去、アフリカ大陸を出発して、私たちホ
モ・サピエンスがたどり着いた先々では、
それまでいた他の人類種や大型哺乳類が次
々に絶滅に追いやられていったことが数々
の研究から明らかになっています。
それほどまでに私たちを強力ならしめた理
由は何か?
それは、唯一虚構を共有できたからだそう
です。
虚構=フィクション
つまり、実在しない、想像して作り出した
ものです。
ホモ・サピエンスは単に火や言語が使えた
のではなく、言語を使って虚構を共有でき
た。
言語だけなら動物も使います。
あるサルは、「気をつけろ!ワシだ!」「
気をつけろ!ライオンだ!」と使い分ける
そうです。
動物学者がその声を録音して、ある一群の
サルに前者を聞かせると彼らは恐ろしげに
上を向き、後者を聞かせると慌てて木に登
る。
火ならネアンデルタール人等の他の人類種
も使いましたし、当然他の動物以上の言語
を使っていました。
しかし唯一、私たちホモ・サピエンスだけ
は、言語によって伝説や神話、宗教といっ
た虚構を語ることができました。
「気をつけろ!ライオンだ」
に留まらず
「ライオンはわが部族の守護霊だ」
ということができた。
サルが相手では、死後に天国でいくらでも
バナナが食べられると言ってもバナナを譲
ってもらうことはできませんが、ホモ・サ
ピエンスが相手なら可能になる。
一見無意味に見えますが、集団で虚構をイ
メージできることで大きな集団で協力でき
るようになりました。
(これには諸説ありますが、)言語を使っ
たコミュニケーションで、なんとかまとま
る自然な集団の上限は150人だそうです
。
それ以上になるには虚構や共通の神話が必
要で、信じることによって、何千、何万の
膨大な数の見知らぬ人同士が協力できる。
ここで例示されていますが、
・カトリック教徒が互いに面識がなくても
共同出資して病院を建設したりできるの
は、皆が同じ神を信じているから
・セルビア人が互いに面識がなくても命が
けで助け合うのは、セルビアという国民
や祖国や国旗が象徴するものの存在を皆
で信じているから。
・弁護士が互いに面識がなくても力を合わ
せて赤の他人を弁護できるのは、法と正
義と人権と、弁護料として支払われるお
金の存在を信じているから。
この例の中に、私たちが作り出した話の外
に現実に存在しているものは一つもありま
せん。
「宇宙に神は一人もおらず、人類の共通の
想像の中以外には、国民もお金も、人権も
、法律も、正義も存在しない。」のです。
「会社」だって同じ。
皆であると思っているから存在している。
このような虚構を共有できることで、大勢
の見知らぬ個体同士が効果的に協力できる
唯一の種として、私たちがいました。
その結果、他の人類種や多くの動物を滅ぼ
し、頂点に君臨することになったわけです
。
「一対一で喧嘩をしたら、ネアンデルター
ル人はおそらくサピエンスを打ち負かした
だろう。だが、何百人という規模の争いに
なったら、ネアンデルタール人にはまった
く勝ち目がなかったはずだ。
彼らはライオンの居場所についての情報は
共有できたが、部族の精霊についての物語
を語ったり、改訂したりすることは、おそ
らくできなかった。
彼らは虚構を創作する能力を持たなかった
ので、大人数が効果的に協力できず、急速
に変化していく問題に社会的行動を適応さ
せることもできなかった。」
身体的能力で劣っている私たちが生き残っ
てこれたのは、一緒に同じ想像をすること
ができたから。
少しロマンチックですらあります。
一緒に同じものをイメージして目指す。
私たちの競争力の源泉を活用すると、確か
に大きなことができそうです。
今回、直接何かの役に立つものではないで
しょうが、私たち人間の競争力の源泉(=
協力)のさらにその源泉というか根源を知
った気がしたので共有させていただきまし
た。
ちなみにこの本では続けて、自ら作り出し
た虚構を起点にサピエンス内部が階層化さ
れ、その中で苦しむメンバーが多数生まれ
てきた歴史を紹介しますから、実は良いこ
とばかりではありません。
■まとめ
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私たち人間の競争力の根源は、一緒に想像
できる力だった。
■編集後記
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本稿で紹介したように、仕事の本や小説そ
の他、いろいろな本を読んでいます。
一度読んだ本はめったに読み返さないので
すが、その代わりに、良いと思った言葉や
文章を書き留めるようなことをしています
。
ちょうどそれを読み返してみましたが、ア
メリカ先住民の言葉として、下記を書き留
めていました。
「あなたが生まれたとき、
あなたは泣いていて、周りの人たちは笑っ
ていたでしょう。
だから、いつかあなたが死ぬとき、
あなたが笑っていて周りの人が泣いている
。そんな人生を送りなさい。」
これができたら、自分の人生は成功だった
と誇って良いのでしょうね。
お互い目指しましょうか。
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