第28回 公認会計士監査制度について

  • レポート
  • 2007.07.10

今年の公認会計士試験も短答式が終わり、論文式の実施が来月に控えています。  当社にもこうした資格試験を受験する者がいる一方、私自身は、公認会計士試験向けのある専門学校で月に何回か講義をしています。その受講生には大学生が多く、「世の中には勉強する大学生もいる」ということを身をもって示してくれています。

会計制度も大きく変わり、昔に比べて覚えるものも多くて大変なところかと思いますし、実際、テキストや法規集も厚くなる一方です。 (ただ、実質競争試験の下、自分も大変なら競争相手も大変なわけで、これがそのまま合格しにくい、ということには直結しませんが)

そして晴れて合格すると、多くの人は監査法人に入るわけですが、今や他の就職市場同様、売り手市場のようです。 ちょっと前だと合格しないと入れなかったのですが、今では合格前から入れるようで、監査法人もやることが増えている中人手不足のようでやむを得ないところかと思います。

ただ、この状況については、先日お会いした上場企業の取締役(その人も公認会計士の有資格者で昔は監査をしていた方)は「むしろ質が落ちたんじゃないか?」と嘆いていました。  私自身は現在、顧問先がショートレビューを受けるときに同席するくらいなので、それを実感する機会はありませんが、監査法人に仕事がたくさんあって困っているのは確かなようです。

その影響は、上場を目指す会社にも深刻な影響を与えていて、上場希望の会社が監査を引き受けてもらえる監査法人を見つけるのは最近特に難しくなっています。  監査法人にとってはそのようなリスクのある会社の監査をする前に、目の前にたくさんの仕事があってそれをこなすので手一杯なのでしょう。

実際、少し前になりますが、同じ年に合格した補修所仲間(会計士は合格直後1年間補修所というところに通います)で十数年ぶりに集まったとき、監査法人に在籍していたのは10名超いる中で2人だけでした。その2人の話では、最近特に業務が多くなり、周りでは過労死に近いことも起こっている、という笑えない話もありました。会社サイドからはうるさい存在の監査法人ですが、そこに所属している会計士個人はそれなりの大変さと責任を負って奮闘している、というのも確かです。 (ちなみに、それ以外の人達は、外資系金融機関にいたり、一般事業会社にいたり、独立していたり、中には公正取引委員会にいたり、と様々でした。)

色々と批判も多い会計監査制度ですが、他の業界同様、末端では各個人がそれぞれにがんばっている、ということになりますね。