第33回 お客様への貢献について
- レポート
- 2007.12.25
「先生のおかげで○億儲かりましたよ」 お褒めをいただきました。 お客様が経営の一線から退くために、自ら経営する会社の株を売却したのですが、そのときのお言葉です。
正確には、不当に安い値段のオファーに応じるのを私が強く止めた、 その結果、より適正な値段に近いオファーに応じることができた。 というのが実際のお話で、私が本来の価値以上に値段を吊り上げた、というわけではなく、過分なお言葉なのですが。
ただ、こうしたM&A案件は、そもそも非上場株式の評価の話であって、さらに相手もあることなので、一応理論値は出せるものの、そもそも不当に安い、とか、適正な値段、とかを判断することは実はとても難しいのです。
とはいえ、今回の案件には、会社の価値の判断についてかなりの確信がありました。 設立当初から見せていただいているため、経営はかなりシステム化されていて株主の交代や経営者の引退があっても特に問題が起こらないであろうことは分かっていました。 その前提で考えると、全額借金をしてその会社を買って、そこで得られるキャッシュフローで返済をする、いわゆるLBOのスタイルを取ってでも、数年で取り返して以降は丸々儲けになる水準が見えていたからです。
これに対して、最初に受けた△億円というオファーは低すぎました。 私共はお客様サイドに立って、資料の準備、買収監査や交渉への同席をするのですが、金額の提示を受けた席で社長がOKを出しそうになるのをあえて引き取って保留にしてもらいました。 そして、改めて、いかにこの会社に価値があるかに気づいてもらい、最終的にはお断りしてもらったのです。 そして、この過程で中立性に疑問を感じた(=かなり買い手寄りと感じた)M&A仲介会社とは別の仲介会社さんの協力を得て、今回、新たな買い手を得ることができました。
そして、一度決まったものがいったんは白紙に戻ったり、と紆余曲折を経ましたが、冒頭のお話の通り、○億円の上乗せを得て案件はまとまりました。
実はこれでもまだ安いと感じているのですが、最低限納得可能な水準とも思いましたし、買い手、売り手、そこで働く社員の皆様にとっても望ましい組み合わせだと思いましたので、結果的には良かったのではないかと考えています。 つまり、買い手にとって間違いなくお買い得、売り手である社長も納得、社員の皆様も雇用はもちろん仕事のスタイルも維持されて納得、という良い結果が得られたように思います。 そして、買い手の会社さんとのシナジーによって、今後もますます発展されると考えています。
私どもの事務所にとっては、今回のように億円単位のお話は稀ですが、税務調査への立会などで、十万、百万単位の貢献はできたかな、ということはたまにあり、また、月次の対応・決算の対応でまとめる資料を銀行に出したらほめられた、しっかりとやっていただいていたんですね、と言っていただくこともあります。
月次・決算対応、税務調査対応、M&Aの交渉支援、それぞれ相応の報酬をいただいているので当然なのですが、これからもお客様に、「お任せしていてよかった」、と思ってもらえるような仕事をしていきたいと思います。