(メルマガ)デフレと生産性

  • レポート
  • 2021.06.15

『安いニッポン「価格」が示す停滞』とい
う本を読みました。

要は世界の中で日本だけがずっとデフレと
いう話。

コロナ前のインバウンドの盛り上がりも、
「おもてなし」以前に、単に日本で売って
るモノ・サービスがことごとく「安い」と
いう要素も大きかったようです。

その中で、日本の賃金はこの30年間全く
成長していない、という話が出ていました。

たしかにそうかもしれません。

まさに自分の事務所でも、
私が創業して約20年前に初めて採用した
新卒と今年4月の新卒。
初任給がまったく同額ですから。

当時はいずれ上げていくのだろうと思って
いました。
安すぎて採用に支障が出ないように、と調
整していくのだろうと。

でもこれまでまったくそんなことは起こり
ませんでした。

一般企業視点で設定した経緯があるので、
いまだに同業の会計事務所の先生からは「
新卒にそんなに出しているんですか」と言
われることがあるくらい。

払う経営者側からすればありがたい話なの
でしょうが、日本以外のアメリカ、ヨーロ
ッパ各国、韓国等ではすべて上がっている
ようですからどうもおかしい。

そんな日本の労働生産性は、同じような工
業国であるはずのドイツよりかなり低いと
言われます。

その理由は何なのか?

労働生産性=価値÷労働時間

ドイツ人が長期休暇をよくとっているのに、
日本人は残業ばかり、とか
分母である労働時間ばかりに目が行きます。

が、分子である価値が低いというのも、実は
かなりの問題のようです。

この本で紹介されていますが、
かつて野村総研の所長がこの謎解きに行っ
たら、
「ドイツ人は全然働かないように見えた」
のだそうです。

「自動車工場は出稼ぎ労働者の移民ばかり。
生産ラインの最後の品質検査の段階には有
資格者がおり、最後の最後に彼らが作り直
すことも度々あった。
これでは「生産性大国」とは思えない。」

ちなみに
高級車の組み立て工場における1台当たり
の組み立て時間は
日本 約17時間
アメリカ 約33~38時間、
ヨーロッパ 約37~111時間
とのこと。

一見、日本がダントツの生産性に見えます。

ただこれは、クルマ1台が同じ値段・利益
だったらの話。

実際は大きく違っていて、私共のお客様を
見ていても、時に数千万円出して買われて
いるのはいずれも欧州車。

つい先週も
「来年の納車になるけど申込金を払いまし
た」
と添付いただいた下記メーカーの見積書は
軽く3千万を超えていました。
https://cars.mclaren.com/

そんな経緯も経て上記野村総研の所長が得
た結論は、
「ヨーロッパで5倍の時間をかけて作った
車も10倍の価格で売れば生産性は2倍に
なる。
それこそがドイツの生産性の高さの理由だ
った」
とのことです。

効率化の追求も良いですが、高くても買っ
てもらえるようなものを生み出していかな
くてはいけないのですね。

(「高くても」とは、生産性の視点からす
れば、かける労働時間の割に、という意味
ですから、もちろん効率化も重要です。)

欧州にも大衆車がありますからそんな簡単
な話ばかりではないでしょうが、いずれに
せよ、「安ければ安いほど良い」という考
え方は、皆で自分の首を絞め合っているよ
うなところもあって、良くなさそうだ、と
思いました。

■まとめ
___________________

生産性は、分母だけで語るべきではない。

■編集後記
___________________

お客様からお誘いいただき、出店に少し関
わりました。

私はトリを食べられないのですが(特にマ
ルはムリ)、
絶対に美味しい!
・・・と聞いています。

丸焼きチキン専門店【シブヤチキン】
「旗の台駅」徒歩1分に本日オープン。
https://shibuyachicken.com/

斜め前にはケンタッキーフライドチキンと
いう強気な展開。

売れると良いな。
皆さんも是非。