第196回 オークション見聞記
- レポート
- 2021.10.31
今回は単なる見聞録です。
気を楽にしてご覧ください。
「今度一緒に行きます?」
お誘いを受けました。
アンティークコインを収集されている社長
です。
聞くと、隣の浜松町駅で来月、オークショ
ンがあるとのこと。
私が色々なところに首を突っ込むのを見て
いて、お声がけいただいたようです。
「ぜひお願いします!」
アンティークコインには特に興味はありま
せんでしたが、何か面白そうなので。
開催日が近づくと事務所に分厚いカタログ
が届きました。
紀元前の古代ローマ時代のものから、地域
はヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、中国、
もちろん日本のものもあります。
安いもので数千円、高いものだと百万を超
えています。
値段はオークションの開始価格ですから、
これで買えるというものではないのですが、
それでも既に十分高い気が。
要は珍しいからなのでしょうがそれにして
も。
開催日は土日の2日間で、日曜日に行くこ
とを約束しました。
社長お目当てのものが日曜日の○時ころだ
から、とのことでした。
でも、事前に登録すればオンラインで土曜
日の様子も見ることができるし、入札にも
参加できますよ、というので登録すること
にしました。
そして土曜日。
ネットで様子を見ると、朝からオークショ
ンが始まっています。
音声もライブ中継され、
画面上には現在の価格が表示され、
30秒くらいで1つのコインが落札されてい
きます。
そんな中、中国のコインが400万でスタート
しました。
500万、600万、・・・と上がっていきます。
ちょうど1,000万で落札されました。
は?
確かにきれいな金貨だけど。
実は数万ですぐ終わるものも多いのですが、
こうして百万、千万というのがどうしても
頭に残ります。
そんな余韻を感じつつ、翌日社長と待ち合
わせてオークション会場へ行きました。
現地では数人のお仲間にもご紹介され、ご
挨拶。
「はまっちゃいますよ」
「浸かって出れなくなりますよ」
とか口々に言われ、うっすら恐くなります。
会場入口でお食事券を渡され、フリードリ
ンクです、と言われました。
(無料の理由は後ですぐに分かりました)
入ると広いセリの会場には、人はまばら。
ただ、ネット越しの参加も多いようで、会
場(フロア)、ネット、電話、の3か所か
ら同時参加によりどんどん落札されていき
ます。
社長は付箋を挟んだカタログをにらみなが
ら、前後に座ったお仲間とたまにヒソヒソ
話をしています。
その後、自分のお目当てはもうちょっと後
だな、
「ちょっと行きますか」
とお仲間と一緒にお昼に出ることにしまし
た。
決して金持ちに見えない、にぎやかなおじ
さん達。
マニアの世界ですから、鉄道好き、将棋好
き、カメラ好き、アイドル好き、と見た目
が変わりません。
事前に、参加するときの服装はちゃんとし
た方が良いのか、伺っていたのですが、
「あまりそういうの気にしない人たちだから
・・・」
と言われていた理由がわかりました。
簡単に言うと、私と同じか少し上、という
年齢層と相まって、そのまま場外馬券場に
いてもおかしくない感じでした。
すぐにコインになっちゃってオカネがいつ
もないよ、と笑っています。
バッグの中から、最近入手したんだ、とい
う無造作に放り込んであるコインを出して
見せあっているのですが、その1つ1つが
何十万円、何百万円。
「トーンが良いですねぇ」とか言っている
ので、聞いてみました。
いわゆるサビのことのようです。
日本ではつかない種類の色がついているも
のがあるのだとか。
単にきれいに磨き上げたものが良いとは限
らないようです。
食事のあと、下見会場に寄りましょうか、
と、そこもご一緒させていただきました。
何の変哲もない雑居ビルの一室です。
カタログの番号を指定して何枚かずつ出し
てもらう方法で、社長の隣で見せてもらい
ました。
「これ良いでしょ」
「はい、確かにきれいですね。」
「いや、きれいというか。ここがこっちと
違うのわかりますよね」
「え、何がですか」
「彫りが深いというか」
「ええ、はい。(良くわからないですが)
角が立っている感じはしますね。」
「角が立つ。良い表現ですね。」
「あ、ありがとうございます。」
(次のコイン)
「ああ、これこれ」
「あ、カタログに大きく載ってた奴じゃな
いですか。」
「そうです。
先生にはこのくらいのを持っていてほし
いなぁ。」
「おいくらですか。」
「600万スタートだったと思いますよ。」
「う。」
そんな感じで圧倒されながら下見会場を後
にしました。
私はその後、娘の塾の保護者会に行かなけ
ればならないので、もっとずっと安い、社
長のお勧めをオンラインで1つ落札するこ
とになりました。
今回のオークション結果はここに出ていま
すが、そのうちの1枚です。
https://www.auction-world.co/xpai/history.jsp?GID=77
そして、順番は違うのですが、落札してか
らそのコインについて調べることにしまし
た。
18XX年製、
小さくあるマークはミントマークと言って、
十字マークはパリではなくストラスブール
の鋳造所で作られたXX枚の一部であること
を意味している。
イカリマークはXX氏デザインのこと。
現在、評価機関XXではこのコインのXXグレ
ードをXX枚鑑定しているから、今回のはそ
の1枚、
といったことかわかってきます。
うーん、深い。
はまりそうで恐い。
さっそく翌日社長から、
来月は帝国ホテルでオークションがあるか
らカタログを取り寄せると良いですよ、と
メールを頂戴しました。
でも、「そんなものを取り寄せたら欲しく
なってしまうので止めておきます。」とお
返ししました。
アンティークコイン
希少性から値下がりすることはない。
単なる趣味ではなく、投資として優れてい
る。
昔からヨーロッパの金持ちはそうしていた。
各所でそう紹介されたりもします。
うーん確かにそんな気が。
いやいやまずい。
距離感を間違えないよう、気を付けます。
■まとめ
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アンティークコインの世界
深いです。
■編集後記
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聞くとオークション会社は売り手買い手双
方から10%、計20%を取っているとの
こと。
https://www.auction-world.co/xpai/history.jsp?GID=77
を単純集計すると今回の落札合計は5億7
百万。
その20%ですから、土日の2日間でオー
クション会社が得た手数料は1億1百万円
だったようです。
そりゃジュース飲み放題、お食事券付きな
わけですね。