第109回 値決め

  • レポート
  • 2014.07.31

経営者にとって、もっとも難しいものの1つは値決め。
現代の経営の神様、稲盛さんもおっしゃっています。

お客様が買ってくれる最高の値段を見極めることはとても難しい。

私共は会計事務所ですが、同じ料金を提示しても、相手によって
「高い」と言われたり、「こんな安くてやっていけるのか」と言われたりします。

今は、統一的な基本料金を作っているので、「高い」「安い」、いずれを言われても調整しませんが、独立当初はお客様の顔色をみながら価格提示をしたりして、結構悩みました。

最近のお客様のご商売を見ていても、消費税の増税、仕入の高騰・人手不足を受けて、価格設定に悩むところが多くなっています。

特に小売をしている会社さん。

あるお客様は月に何万アイテムも売るのですが、消費税をそのまま転嫁したところ、かつてない影響を受けてしまいました。

これまで5,000円でおつりが来ていたものを、上乗せで払うとなると、それを理由に買い控える現場を目の当たりにすることがあるそうです。

かといって、増税分をまともにかぶるとそれはそれで難しい。

業者間取引ではないので、価格転嫁をさせてくれない、と中小企業庁に訴えるわけにもいきません。

そんな状況に接しながら、ハーバードビジネスレビュー7月号『良い価格悪い価格』を読みました。

この雑誌は、経営コンサル時代によく読みましたが、久しぶりに読むと良いことも書いてありますね。

その中の一稿ではこんなことが書いてありました。

ほぼ直線になっている需要曲線は、商品のバンドル販売(要は抱き合わせ販売)で曲げることができるそうです。

言葉で書かれても分かりにくいのですが、本では図解されていて、これにより、売り手が確保できる利益を大きくすることができることがわかります。

バンドル販売とはたとえば、ソフトAとソフトBのセット、ワゴン内2点で○円、といった売り方です。

この場合、必ずしも値引きする必要はありません。

たとえば、、、
単品ならA300円、B200円のところを、
ABのセット500円で売る。

このとき、
甲さん
Aに350円、Bに150円払っても良いと思っている。
乙さん
Aに250円、Bに250円払っても良いと思っている。

単品で売ったら、、、
甲さんはAだけ300円で買う。
乙さんはBだけ200円で買う。
お店の売上合計は500円。

500円でのセット販売なら
甲さん乙さんともに買う
お店の売上合計は2セット1,000円。

となります。
結構興味深く、物販だけでなく、多くの業界で参考になりそうです。

なおこの本の別の稿では、この20年ほど、日本国内では合理的な価格決定をしてこなかったのでは?という問題も提起されていました。

とにかく安ければ、あるいは安く見えれば、良い、という価格設定に慣れすぎてはいないか?

もう少し工夫の余地があるのかもしれません。

**************まとめ**************

値決めは難しく、同時に極めて重要。
だから研究が必要。

**************あとがき**************

昨日は、会計事務所向けのコンサル会社から、彼らがお勧めするメルマガツールを紹介されました。

記事の元ネタも供給します。
名刺交換された方に定期的に出すと集客に最適ですよ、と。

何日も前にアポを取ってから来た彼から、ついでにこんな質問をされました。

「先生もメルマガをされているようですね。どんな内容なんですか?」

え!?
あなた今、メルマガツールを売りに来てますよね。

万事こんな調子で流れた40分間。
命の断片を確実にムダにしました。

(参考)
「命の断片」については
ここの「編集後記」参照