第114回 取捨選択
- レポート
- 2014.12.27
人生は選択の連続です。
取捨選択と言いますが、このうち難しいのは「捨」の方ではないかと思います。
ちょうど大掃除の最中で実感されている方もいらっしゃるでしょうが、捨てるのは難しい。
ビジネスにおいても本当に同じだと思います。
「捨」をしないと「取」ができないことがあります。
この観点で私共のお客様でよくありがちなのはIT業界のお話。
IT業界のベンチャーの会社さんは、ほぼすべてにおいて、受託開発と自社サービス展開のバランスに悩みます。
受託開発とは、他社さんからいくらでやってください、と頼まれてやる仕事。
3か月、6か月がんばって納品した後、よほどのことがなければ確実に売上になる。
収支が見通せて安定しますから、たしかにありがたい。
当たりはずれもないからリスクも少ない。
ただ、これをやっていると自社サービスの展開や新しいビジネスをするためのリソースがなくなります。
中長期的には発注元の景気動向にも左右されます。
下請け仕事をやっているうちに、なんのために独立したのかも分からなくなる。
ということも起こります。
そう考えると、あえて捨てて、自社サービスに注力して世に訴える、ということも必要なわけですが、これがかなり難しい。
捨てないと取れない。
でも捨てるのは惜しい。
本当に捨てて良いのだろうか?
かなり悩むのですが、捨てて得るものの方が大きいような気はしています。
小さい話で恐縮ですが、私もこれに悩みました。
(1)コンサルティングの手伝い仕事
(2)専門学校の講師仕事
いずれも独立してから数年間の話ですが、
(1)は、経営コンサルティング会社時代の上司から、その会社の名刺をもって手伝ってくれ、と言われて関与したもの。
確実にオカネになるのですが、自社の名前を売るわけでもなく、単に雇われ先が変わったような状態でした。
かなりの時間を割くため、本業で引き合いが来ても対応できないこともありました。
独立当初の安定収入は大変ありがたかったし、今でも感謝していますが、やっていてはいけないな、と真剣に悩んだものです。
(2)は、公認会計士試験の専門学校の講師仕事。
まだ合格直後の大学院生のときにやっていたときは良かったのですが、30になって独立した後、専門学校で週2日ほど夜教えていました。
これも確実にオカネになりますが、確実に時間を取られました。
事務所で他のスタッフに手伝ってもらう種類の仕事でもなく、広がりがありません。
とはいえ、年にすれば何百万の仕事。
これも結構悩みました。
結果として数年やらせていただいた後、私よりももっと若い、独立したばかりの先生に頼んでください、と身を引きました。
今はそのいずれもやっていませんが、結果として手放して良かったと思います。
それによって、より自分の求める活動と成果を得ることきたと思うからです。
捨てないと取れないことがある。
捨てると取れるものがある。
ビジネス以外の他の局面でもあると思います。
この観点で選択をしてみてください。
*********************** まとめ *****************************
捨てないと取れないことがある。
捨てると取れるものがある。
*********************** あとがき ***************************
最近読んだ本で、言葉の定義をしていました。
・君子危うきに近寄らず
・君子は和して同ぜず小人は同じて和せず
というときの「君子」、「小人」
君子とは立派な人、小人とはそうでもない人、という程度の意味かと思っていましたが、中村天風と並んで各界の指導者に多くの影響を与えた安岡正篤は、その著書『運命を開く』で次の通りとしていました。
小人とは、徳<才の人
君子とは、徳>才の人
聖人とは、徳・才、ともに高い人
とのこと。
私自身、才はともかく、徳が低いのは自覚しているところなので、間違いなく「小人」です。
ということで新年を見据え、徳を積んでいきたいと思います。
そのためには、
・些事に惑わされず、つまらないことに腹を立てない。
・余裕を持つ。
良い意味で、上から目線でことに当たろうと思っています。
今年1年どうもありがとうございました。
どうか良いお年をお迎えください。