第9回 助成金等を利用するには
- レポート
- 2003.04.03
国や自治体では、起業が少ない現状を打破すべく、設立間もない中小企業等に対し、さまざまな施策、支援策を打ち出しています。
税制上の優遇措置を筆頭に、低利融資・利子補給や創業支援施設(インキュベータオフィス)の提供、補助金や助成金等、様々なメニューが用意されています。
その中で、お客様から良く聞かれて注目度が高いのは、「返さなくていいものはないかな?」ということです。 補助金・助成金のことですが、もちろんあります。 しかし、その支給は厳格で、1回にもらえる額も少なくなる傾向にあるようです。
たとえば厚生労働省(実際の窓口は雇用能力開発機構)所管の中小企業雇用創出人材確保助成金。
この助成金は一時期、会社を作って労働者を雇えば、その人の年収の半分がもらえる、というものでした。 しかし、ペーパーカンパニーを作って労働者を雇ったことにする不正が続出して逮捕者が出て社会問題化したおかげで、まともな会社であっても、受けるのにとても大変な手続を要求されることになり、かつ、現在では、年収の8分の1相当がもらえる、というところまで条件が悪くなり、受給実績も下がっているようです。
とはいえ、返さなくて良い数十万単位のオカネというのはなかなかありません。 創業間もない企業で社員を雇いたい、立ち上げにオカネがかかる、といった、ちゃんと会社を立ち上げたいという志を持った起業家であれば、制度本来の趣旨であって、十分に獲得できる可能性があるので、是非検討してみる価値があります。
ただ、それ以外の助成金として、設備投資を補助してくれるもの、運転資金の一部を負担してくれるもの、事務所の敷金を負担してくれるもの、とか期待する声を聞き、調べることがあるのですが、実際には、そうしたものはありません。 こうしたニーズに応えるものとして、自治体では、低利で融資する、利子を補給する、という形で応えているようです。
とはいえ、融資である以上、返さなくてはいけないのはもちろんですが、簡単に貸してくれるわけでもないので、人気度からいくと少し落ちるというところです。保証協会の保証を受けることが条件になっていたりして、その保証を受けるのが大変だったりしますので、これ自体のハードルも結構高いわけです。
自己責任の世の中、支援を受け続けることはできませんし、これ自体が目的のようになってしまうことは本末店頭です。
しかし、せっかく用意された制度のメリットは、受けられるときには受けておく、ということも賢い選択だと思います。 そして、そのための準備は、設立前の会社のデザイン時点から行うことが肝心です。
一例を挙げるなら、仲間内で立ち上げる会社では、メンバー全員で取締役になってしまうことが多く見られますが、税金や上記助成金のことを考えると、これは得策ではありません。
ASCでは、設立や助成金獲得の支援も行っております。是非御相談ください。