第156回 勝因
- レポート
- 2018.06.30
「会計事務所もコンサルティングで稼ぐ時代」と言われたりします。
私自身、経営コンサルティング会社にいましたので、できなくはないのですが、当時は中堅~上場企業相手でしたから、当時と同じような料金設定と昼夜を問わず案件に没頭するような関与スタイルでは当然できません。
その代わりに、(毎月の会計料金に比べれば高いのですが、)高くても月20万円以下の範囲で、一方的に指導したり報告するというより、一緒にものを考え・検討するキャッチボール相手、ラリー相手のようなことをさせていただくことがあります。
私だけではないものの、社内の誰でもできる業務ではありませんし、積極的にはご案内はしていないのですが、それでもご依頼をいただくことはあって、現在はあるクリニックに関与しています。
自由診療中心で億単位の売上をあげている医療法人。
テーマは、現状の課題を見極め、今後の方向性を決める。
それに際して競合調査を進めながら、勉強熱心で頭も非常によろしい院長先生とああでもないこうでもないとやっています。
競合調査に当たっては、
幸い、医療法人の会計データは都道府県に報告されて閲覧可能な状態になっていますからまずはそれを入手します。
一般の非上場会社よりも極めて正確な数値が把握できますから、それで初期の検討するわけです。
(ちなみに株式会社でも東京商工リサーチや帝国データバンクのデータがあったりしますが、対象会社自身へのヒアリングに頼っているので、そもそもなかったり、信頼性は「?」のところも多くあります。)
こうして入手したデータを比較してみて面白いのは、同じ診療科・テーマでやっていても、
・派手にやっていて儲かっていないところ
・それほど目立たないながら少し儲かっているところ
そして、
・派手にやっていて本当に儲かっているところ
とがある点です。
それがわかると、今度は勝因を探します。
一番知りたいのは本当に儲かっているところの勝因。
推測もするのですが、先日は、共通する納入事業者さんにヒアリングしました。
あれこれ聞いてみると、立地やら診療方針やら個別要因ではない
基本的な要因として
・独創性がある
・オープン
・嘘をつかない
ということがあるように感じました。
そのうちオープンというのは、
・自分のやっていることを隠さず
・来る者は拒まず去る者は追わず
ということ。
・嘘をつかない
もこの仲間かもしれません。
そのため、患者さんはもちろん、向上心のあるドクターを引き付けているようです。
今の時代、経営資源に占める「ヒト」の重要性は増すばかりで、クリニックは特にそうですから、向上心のある若手ドクターを引き付けるだけで勝率が上がるのは確かだと思います。
ただ、いずれはライバルになるかもしれない人に、自分のやっていることをオープンにするには相応の自信がないとできません。
実際、「去る者は追わず」の通り、独立する人を送り出しているようです。
ちょっと考えて、それができるのは、独創性があって、常に新しいことをしている自信なのだな、と思い至りました。
以前、将棋の羽生善治竜王が、自分の開発した手筋を出版したりして公開することについて問われていました。
そんなことをしたらライバルに手の内を明かすことになりませんか、と。
その答えは、自分はその先で考えているので(過去に考えたことを公開しても)問題ない、とのことでした。
じゃあ、本当の勝因は独創性じゃないか、という話になってしまいますね。
たしかにそうかもしれません。
ただ、独創性だけではないところが参考になる点なのかな、と思います。
検討過程では、当然これ以外の要因も出てきたのですが、多くの領域で参考可能な点を挙げてみました。
そして、改めて書くと、この方針で進めるには、+自信がないと難しいでしょうね。
つまり、今回の検討で得られた他業界でも参考可能な基本的な勝因は
独創性×オープン+自信
ということでした。
わかってもなかなかできないことだとは思いますが、
なんとなく、他の業界で勝っているプレイヤーにも当てはまるところがあるような気がしてきませんか。
*************************** まとめ ********************************
勝つための1つのスタイル
=独創性×オープン+自信
***************************あとがき*********************************
飼い犬が先日16歳になりました。
元気なおばあちゃんなのですが、そんな矢先の先週末から急激に体調が悪化。
ぐったりしてしまい、レントゲンやエコーやら点滴やら、毎日そこそこ大変でした。
体重も減って、自分でご飯も食べられないのではもう時間の問題だろう。
いつお迎えが来てもおかしくない、と覚悟はしていましたが、実際そうなると子犬のころを思い出したり、その頃自分はこうだったな、とか先走って勝手にメソメソしていました。
ただ、何かのきっかけで飲み込んだと思われる異物がレントゲン画像から見えなくなったあたりから回復の兆しが出てきて、今ではゆっくりながら自分で歩き回り、少量ながらご飯をガツガツ食べ始めるようになっています。
このまま元気になると良いのですが。。。