第22回 こんな本をプレゼントしました。
- レポート
- 2006.08.06
会計税務の面から見れば余談となりますが、先日お客様の設立記念パーティーにご招待をいただきました。 そこで何かプレゼントを、と思い、花やら現金やら色々と考えたのですが、下記の本の詰め合わせを贈ることにしました。 かなり手当たり次第の感もありますが、経営者としてデビューされること、国家機関がお客様に含まれそうなこと、という背景から、これまで読んで面白かったりためになったように思ったものの中から選定してみたものです。 既に読まれた方も多いかも知れませんが、何か良い本がないかな、とお考えの際の参考にしてください。
1)坂の上の雲 司馬遼太郎
明治期に、日本が世界の列強に方を並べるための努力を、はるか先に見える坂の上の雲を目指しながら登ることになぞらえ、その時代に生きた人々を主人公にして展開する歴史小説です。経営者にも愛読者が多い司馬遼太郎ですが、その中でも特に人気の高いものだと思います。ストーリーとして面白いだけでなく、 2)とともに日本人として志を高く生きたい、と感じさせる良い作品です。
2)国家の品格 藤原正彦
今話題の本とも言えるでしょうか。国際的な数学者でもある著者が、だからこそ思う、あるべき国家像が語られています。とかく合理性や効率性を重視し、理屈で説明できないものを軽視する昨今の世の中に警鐘を鳴らしています。 子供にはダメなものはダメ、と教えることは重要である、とか、甘やかされてきた私達世代にとって、考えさせられることが色々とあります。
3)学問のすすめ 福沢諭吉
当社は採用面接の際に、学生さんにこれまで読んだ本でよかったものを教えてもらうことがあります。これはそのときに良かったものとして教えられたものです。題名だけはもちろん知っていましたが、恥ずかしながらそれまで読んだことはありませんでした。 「だいたい世の中の事は進まなければ必ず後退していく。」 「自分の衣食住が足りてこれを満足すべきとするなら、人の一生とは単に生まれて死ぬだけである。」 等、自らのレベルの低さを反省させられる言葉がいくつも出てきます。
4)千円札は拾うな 安田佳生
これはかなり最近の本です。上の3つに比べて対極にあるようなドライで効率的な考え方が展開されます。 しかし、この中身は斬新です。たとえば、 「売上を伸ばすために顧客を捨てる」 「無駄には「豊かにするための無駄」と「本当に不要な無駄」の2種類がある。」 自分がうすうす感じていたことや実行していたことをはっきりと考え、言葉にして行動している著者に共感する部分も多くありました。
5)経営学 小倉昌男
ご存知クロネコヤマトを一流企業にした著者が自らその考えを著したものです。自分が正しいと信じたことを常識や行政の壁にぶつかってもやり遂げた著者の生き方に勇気を与えられます。また、経営に係わる人の覚悟も得られるのではないかと思います。
6)実学 稲盛和夫
京セラを立ち上げた著者の考え方を書いたものです。私はこの中で、多少正確さに欠けるかもしれませんが、下記のような話が出てきて深く印象に残りました。 著者は、社内で不正行為があったとき、それが可能な状況を作り出した自分の至らなさを思い、その従業員に対して申し訳ないことをしたと思う。だから、不正ができるような状況は会社のためだけでなく、従業員のためにも作るべきではない、と言っています。他にもためになることが書かれていますが、特に印象的なこの部分は、組織の仕組みや体制を考えるとき、時折思い出します。
7)孫子の兵法
これはもともとは戦略・戦術書ですが、多くの人が研究しているように、現代社会でも役に立つ示唆に富む書だと思います。たとえばその中に、自分が勝っていても相手の逃げ道を残しておかなければならない、ということが書かれています。相手の面子もつぶすような完全勝利は、得られるものだけでなく失うものも多いという意味ですが、こうした参考になる考え方がいくつも出てきます。
以上、今回はプレゼントした本について書評を書いてみましたが、また機会があればご紹介したいと思います。