第173回 久しぶりにやられた話

  • レポート
  • 2019.11.30

先日、調査官に久しぶりに「やられた」と
思うことがありました。

日頃は私自身、さらには事務所の職員も皆
、税務署に対して臆するところがないどこ
ろか、若干ふてぶてしさまで身に着けて対
応しております。

ただし、礼を欠いて接しているというので
はなく、根拠が希薄なことを言ってきたり
、ちゃんとやっているお客様に対して必要
以上の追及をしてくるような税務職員には
協力しなくても大丈夫。
その程度ではあります。

調査官はもちろん権限を持っていますが、
無駄に振りかざして納税者の反発を受け、
協力・納得が得られなくなると、実際には
かなり業務が進めにくくなります。

彼らも忙しいわけですからスムーズに業務
遂行できた方が良いわけです。
「調査結果に納税者が納得して、自ら修正
申告を出して終了となりました」がベスト

一方、「納税者が納得しないので職権で更
正をして終了となりました」は、ここにた
どり着くまでに膨大な時間がかかりますし
、税務行政の求める姿ではないので望まし
くない。

そもそも根拠が希薄なものに更正決定はで
きません。

その点をわかっていれば無駄に恐れる必要
はありません。

傲慢になったり、理不尽なことを主張して
はいけませんが、自分が納得できるよう、
礼儀をわきまえて対等に調査官と接すれば
良い。

こうした雰囲気はお客様にも安心感を与え
ます。

これまでは、それでうまくやって来ました

重ねて書くなら、
納得した部分については無駄にごねたりせ
ず、むしろ調査官の業務がスムーズにいく
ように協力する。

この方が圧倒的に多く、調査官とはむしろ
円満に良い関係で進行して終了するのが大
半です。

一方で、根拠が希薄だったりおかしなこと
をしつこく言われても(戦術的に折れる場
合を除いて)協力しない。

でも、考えてみれば、これはすべて「税務
調査」が舞台でのやり取りでした。

しかし今回、それではうまくいかない場面
がありました。
舞台は「税務調査」の前段階にある「意見
聴取」

「意見聴取」は、ある要件を満たした申告
書について、「税務調査」に入る前に税務
署が税理士に意見を聴く機会です。

そこで調査官が疑問点を解消できた場合は
「税務調査」が省略されることがあるとい
うもの。

一応そういうことになっています。

ただ、まだ「税務調査」ほどの歴史がなく
、大まかな規定があるだけで、詳細のルー
ルや慣行も固まっていません。

そのため、調査官によって、制度の理解、
言ってくること、聞いてくるもの、のレベ
ルがてんでバラバラ。

時期によってもかなり自由に好き勝手にや
られている感を受けます。

あくまでも実感値ですが、
5、6月に受ける「意見聴取」はほぼすべ
て省略ありき。
(事務年度の終わりの件数合わせに使うた
めなのと、その時期から「税務調査」を始
めたら年度またぎとなって大変なので)

一方でそれ以外の時期の「意見聴取」は、
「税務調査」ありきでされることがある。

なお、「意見聴取」は会計事務所が意見を
述べる機会とされているので、会社の状況
を最もよく知るお客様の担当者の同席が許
されていません。

今回はその席で、たくさんの細かい質問を
受けました。

今年の3月決算の申告についてですから半
年近くも前の話がテーマです。
それなのに事前に質問項目を聞いても簡単
なことしか示されません。

会計事務所の立場から答えられるべきもの
も当然ありましたが、会社の経理の人が資
料を見て思い出しながらしか答えられない
ような質問も含まれていました。

「持ち帰って確認してお答えします。」
と言うと、
「意見聴取はそのようなことは想定されて
いません。」
と返されました。

税理士業界内部の勉強会レベルの話ではあ
りますが、意見聴取の場で「わからない」
は良くないので、「持ち帰って確認してお
答えします。」がベストであるという理解
が共有されています。

そのため、翌日の電話でのやり取りでも、
持ち帰っての回答がなぜいけないのか根拠
を聞きましたが、ひたすら論点をずらした
ことを言われました。

結局この件は、年明けの超繁忙期の「税務
調査」に移行となりました。

調査自体は良いとしても、今回の流れはど
うも納得いきません。

「意見聴取」をこう使われると、今後もい
いようにやられるな、という気がします。
「税務調査」と違ってこちらが納得しなく
ても、調査官主導で進められるからです。

でも次の舞台は「税務調査」。
しっかりされた隙のないお客様ですし、私
達もこれまで通りやらせてもらいます。
スムーズに行くと良いですね。

■まとめ
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調査官に久しぶりにやられた気分を味わい
ました。

■編集後記
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