第174回 ベトナムに負ける日

  • レポート
  • 2019.12.31

昔の投稿で恐縮ですがまずは下記をご覧く
ださい。
https://www.ascinc.co.jp/report/187/

これを書いた頃(10年前)、その社長は
ベトナムから訪れた弟妹に、中古の日本の
家電を買い与えて帰していました。

ただ、その翌年(9年前)。
訪れた弟妹は、中古家電に見向きもせず、
「兄貴、こんなところで細々やっていない
でベトナムに来るべきだ」と言って説得さ
れていました。
現地の繁栄に乗り遅れてはいけないとのこ
と。

さらにその翌年(8年前)。
社長は日本での主要業務を止めました。
私には「ベトナムに来るときは言ってくだ
さい、ご案内しますよ」と言い残し。

かつて死ぬ気で脱出した国に戻って行った
わけです。

そんなことを思い出したのは先週、少し衝
撃的、少し憂鬱な話を聞いたからです。

それは、ベトナム人に日本人が勝てなくな
ってきているという話でした。
2日連続でまったく違う業界の方からだっ
たので、深刻に受け止めました。

1社目はシステム開発業界。
4~5年前までは自社が上で、下請けのよ
うに使っていた。
しかし、今やお客様から直接仕事が現地の
会社に流れる事態になってきたとのこと。
現地でも質の高い会社同士の競争が始まっ
ているようです。

勤勉で優秀でハングリー。さらには他国人
にはない気遣いも。
(もちろん怠惰で無能で向上心がなくて無
神経なベトナム人もいるのでしょうが)

お客様の会社でも、自社が日本で採用する
際もベトナム人が増えてきているそうです。
単に給与が安いからではなく、優秀だから
と。

2社目はイベント業界
職人的な仕事集団。
この業界は、かねてより日本に来るベトナ
ム人を受け入れてきた素地があります。
ベトナムに帰って、日本の下請けや人材の
供給元としてだけでなく、成長する現地の
仕事をするようになってきた。

言葉は多少違っていましたが、1社目とま
ったく同じ。
「勤勉で優秀でハングリー。さらには他国
人にはない気遣いもある。」
だから今後も付き合っていきたいし、応援
したいとのことでした。

1社目、2社目ともに、
ベトナム人に対して、全体として能力に劣
り、頑張っていない日本人が勝てなくなっ
てきた、と言うわけです。
おそらく、ベトナムの中でも一流でやる気
のある人たちが相手なので、なおさらそう
思うのでしょう。

私達は上の世代の頑張りによって今の繁栄
を享受していますが、このまま自分らしさ
などを追及しているうちにいずれ負ける日
が来るのかもしれない。

勝ち負けではないのかもしれませんが、少
し寂しい気がします。

・・・いや、負けてはいられません。
私達も頑張りましょう。

日本人は、怠惰で無能で向上心がなくて無
神経だから負けるのだ、などと将来言われ
ることのないよう。

■まとめ
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このままでは、ベトナムに負けてしまうか
もしれない。
がんばっていこう。

■編集後記
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本稿に関連した話です。
今の日本の繁栄について。

うちの事務所に外国人社員がいるのですが、
「外国人仲間と、アジア辺境の小さな島国
である日本が、なぜここまで成功している
のか話すのだが明確な解を得ていない」と
のことでした。

ちょうど一緒に訪問した客先でこの話をし
たところ、社長は、天皇制のもと緩やかに
まとまっているからではないか、という持
論を展開されました。

なるほど。
程度の差はあれ、なんとなく拠り所にして
ますね。
憲法では「日本国の象徴であり日本国民統
合の象徴」としていますが、良くいったも
のだなと思います。

昔、大地震が起こって日本列島が東西真っ
二つに割れるという漫画があって、一方を
アメリカ、もう一方を中国が実質的に支配
するような空想上の世界が展開されていま
した。

そこで、どちらが正当な日本なのか争うシ
ーンがあって、なかなか決着がつきません。

ただ、そこではあえて触れなかったのかも
しれませんが、争うまでもない気がします。
簡単な話、私が思うに、答えは「天皇がい
る方」だからです。

幕末や戦国の世、その前までさかのぼって
みても極めてクリア。

これを欠けば、将来誰かが東京・大阪・京
都を支配して、さらにその領地に富士山や
桜や新幹線があっても、日本を支配したこ
とにならないのではないか。

「だから何なの?」と言われそうなことで
すが、令和元年の年の瀬にふと考えました。

今年一年どうもありがとうございました。
皆様の令和二年が最高でありますように。