第36回 リースの会計と税務について
- レポート
- 2008.04.04
リースに係わる会計と税務がともに大きく変わります。
大企業ではもちろん、中小企業がこれまでと同様の簡便な処理を取ったとしても消費税の扱いは必ず変わるので注意が必要です。 (ちなみに、消費税の免税事業者が短期・少額のリースをする場合には、あまり気にしなくても問題はおこりません。)
単に会計基準の文言をなぞればもう少し簡単に書けるのですが、消費税の申告書・そのための会計システムへの入力のことも考慮して会計仕訳を考えると、次のようになります。 かなり簡単に書いたのですが、それでも難解なので、今回は一般の方向けというより、企業で会計処理をされている方向けと言えるかもしれません。 (実際、弊社内研修用の資料とほとんど同じレベルなので)
なお、現時点の情報・理解に基づいて書いているものであるため、今後これに従った会計上・税務上の処理をしたときの妥当性を保証するものではありません。
(対象)20年4月1日以降契約取引
(内容) 所有権移転外ファイナンスリース取引(*)は売買処理とする。
(*)ファイナンスリース取引とは、ノンキャンセラブル・フルペイアウト(実質解約不能・全額借手負担)を条件とするリース取引
(なお、所有権移転ファイナンスリース取引は、当初から売買扱いなので今回対象となっていない)
(趣旨) カネを借りて買ったに等しい取引であるため (さらには、以前は例外処理である賃貸借処理を採用する会社ばかりだったのを是正するため)
(会計) 減価償却方法:残存価額ゼロで、定額法・級数法・生産高比例法等の中から選択
例外:少額・短期は賃貸借処理を認める (リース料総額≦300万orリース期間≦1年)
(税務) 減価償却方法:リース期間定額法(残存価額ゼロで、定額法) 例外:なし(すべて売買)
但し、「リース料として処理しても減価償却費として扱う」とされている。
リース期間定額法の結果と一致するため、リース料で毎月の支払額を計上しても、下記を除き問題は起こらない。
(課題)消費税 売買なので、リース契約締結年度に全額仕入税額控除 →これまでと同様、支払時にリース料だけを計上していくと、これができない。
(契約時に総額が登場しないため、仮払消費税だけ立てることになりかねない)
(対応:もっとも簡便な方法) 少額・短期として、これまで同様に支払時にリース料を計上する処理を取るにしても、下記のような対応が必要になると思われます。 <例> リース期間:36ヶ月、リース料総額:税抜3,600、税込3,780→月105×36回払
(契約時) リース資産 3,600(課税) / リース債務3,780 仮払消費税 180 / リース債務 3,600 / リース資産(不課税) 3,600 消費税のかかる本体を認識させるため、両建で変な仕訳を切ります。
(支払時) リース料 100 / 普通預金 105 リース債務 5 /
(各期末) 仕訳なし
(参考:本来の処理) 金利=年利6%(月0.5%)とすると、毎月105を払うので、 105/1.005+105/(1.005^2)・・・+105/(1.005^36)=現在価値=リース債務3,451 つまり、3,780-3,451=金利329ということになります。
(契約時) リース資産 3,600(課税) / リース債務3,780 仮払消費税 180 / リース債務 329 /リース資産(不課税) 329
(支払時:1回目) リース債務 88 / 普通預金 105 支払利息* 17 / *3,451×0.5%=17
(支払時:2回目) リース債務 89 / 普通預金 105 支払利息* 16 / *(3,451-88)×0.5%=16
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(支払時:36回目) リース債務 104 / 普通預金 105 支払利息 1 / (各期末) 減価償却費* 1,090 / リース資産 1,090 *(3,600-329)÷3 以上、本来の処理はもちろん、簡便な処理でも面倒な取扱が必要になります。
どんな世界も同じですが、資格や経験があっても、日々勉強をしていかないといけませんね。