第176回 中間管理職
- レポート
- 2020.02.29
組織論という学問のジャンルがあります。
切り口は色々ありますが、その典型的なも
のは
・ピラミッド組織
その対極の
・フラット化した組織
そして、だいたいの流れとして、フラット
化した組織の方がイケてる。
となります。
軍隊ならともかく、ビジネスの組織で、今
やネットですぐにつながれるのに階層など
ダサい、不要、という論調。
最近読んだ本でも、大筋同じように、これ
まで人間社会で生まれてきた組織形態につ
いて説明がありました。
組織に関する本の多くは学者が書いていま
す。
イケてる組織では中間管理職など不要。
はるか昔、公認会計士試験に向けてもこう
した勉強をしましたが、学生だった私はそ
れを鵜呑みにしていました。
社会人になってコンサル会社に属したとき
も、組織を扱う本には似たようなことが書
いてありました。
でも実際に接するクライアントである官公
庁はもちろん、公益法人、民間企業までも。
すべて伝統的なピラミッド組織。
それは、転職先の事業会社でも同じでした。
本部があって、その下に部・課があって、
さらにその下に係やチームがありました。
私が勉強した学問からすれば、それらはす
べて理想であるフラット化した組織に到達
できていない過渡期の未熟な組織であるわ
けです。
揃いも揃って未熟な組織とは。
なんか変だけど、とは思いつつ、独立しま
した。
自ら組織を作り始めます。
はじめは当然フラット化した組織です。
中間管理職などおらず、私の真下に数人が
付きます。
特に不便も感じませんし、指示もレスポン
スもダイレクトなので早い。
まぁこんなもんだよな。
だって理想の組織形態だから。
そのまま人数が増えてきました。
ただ、20人を過ぎようとした頃からでし
ょうか。
かなり支障が出てきました。
・これ買って良いですか。
・これはこんな感じで進めて良いですか。
・電車が止まっているので遅れます。
・具合が悪いので早退して良いですか。
・今、相談させてもらって良いですか。
全部が自分に来ます。
決裁権限を持つのが自分しかいないので仕
方がありません。
メール・電話も使ってこれに対応します。
でも、だんだんとおかしいことに気づいて
きました。
やろうと思えばできるのですが、これに対
応する時間が明らかに増えてくるのです。
そりゃ社員が有休を取るというなら誰かが
決裁すべきでしょう。
ちょっとした悩みごとや相談にも上の人が
相談に乗る必要があります。
そうです。
この「上の人」
それを全部1人で担っていたらとてもじゃ
ないけど無理。
そこで私の下に中間管理職を数人置いてみ
ました。
私はその数人に対応し、
彼ら、彼女らが、その下の数人を見てくれ
ます。
とてもスムーズです。
忙しそうにしている私に声をかけにくかっ
た社員も、すぐ「上の人」がセットされた
ことによってとてもやりやすそう。
そうか。
中間管理職って意味があるんだ。
その時、改めて実感しました。
学者が時に馬鹿にするピラミッド組織、情
報の流通を阻害すると問題視する中間管理
職ですが、実際に必要だから今も世の中が
そうなっているのだと実感しました。
そうである以上、皆さんも組織を作る時、
無理にフラット化を目指す必要はないと思
います。
というか、大きくなるにしたがって早晩そ
れは行き詰まると思います。
本件について言うと、私が表層だけで理解
していたからかもしれませんが、学者さん
たちの言うことと実際の状況は違うことが
あります。
学問と実践のバランスが重要ですね。
■まとめ
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中間管理職は必要
■編集後記
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新型コロナウィルスで世の中が一変しまし
た。
子供の小学校の卒業式も3月の予定が急遽
本日(2月末日)父母と卒業生だけによる
縮小版で行われることになりました。
前日に「明日卒業式やります」との一斉メ
ール配信。
びっくりしました。
でも、やってくれるだけでありがたい。
午後から行ってきます。