第40回 景気について

  • レポート
  • 2008.10.06

景気が良くない、ということが新聞・TV等でも言われています。

商売柄、こうしたことは少し早めに知ることができるように感じているのですが(この間までの好景気が始まる前も、世間で言うほど景気は悪くないのではないか? という感触が1年以上前からありましたが)、今回も(内容は逆ですが)そうでした。

今回の不況への入りに際して、不動産会社さん、広告会社さん、小売業者さん、のあたりから、先行きの不透明感についてお話をいただいたのは、やはり1年以上前になります。

それ以外でも、業種にかかわらず景気に敏感な複数の社長さん達(というか、社長という人達は基本的に景気に敏感ですが)から株式の売り推奨までいただいたのも昨年の今頃だったように思います。

そして、今やお客様の中でも、前年同月を下回る会社や、さらには会社を休眠あるいは閉鎖してしまうところも例年より増えてきました。
また、ベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けて上場準備を行っている会社さんでも、VCさん自体の事情もあって出資の引き上げの打診があったりしているようです。

もちろん、景気は良い方が良いわけですが、不景気でも悪いことばかりではないと思っています。 たとえば、景気が悪くてつぶれてしまった会社から優秀な人が放出され、その人が起業する際に私共のような会計事務所のお客様になっていただく、ということが増えてきます。 また、中途・新卒にかかわらず、優秀な人が採用しやすい、ということも事実でしょう。

前者はともかく、後者はどんな会社にも当てはまるのではないでしょうか。
さらに言えば、特に新卒として不況期に就職する人は精神的にも強く、がんばる準備ができているのだと思います。

実は、私は、バブル末期の最後の売り手市場の年が大学卒業でした。
そのころは、頼んでもいないのに大手企業からはプレゼント入りの会社案内が山ほど送られてきましたし、リクルーターと呼ばれる先輩からの接待攻勢のようなものも頻繁にありました。

今はなき北海道拓殖銀行(たくぎん)からの豪華会社案内が、三洋証券からの同社が作ったアジア最大のディーリングルームへの招待状は、その後の不況で両社がなくなってしまったので、印象に残っています。
ちなみに、これは私だけがこのような扱いを受けたわけではなく、当時の学生は皆こんな感じでした。

誰でも複数社から内定をもらうのが当然のようになっていて、入ってやる、という意識さえあったように思います。
ただ、こんな甘い気持ちで社会に出る人間は、迷惑以外の何者でもありません。

実際バブル入社の世代は、その甘さと無能さで企業ではお荷物になっていることも多いようです。
(私のあまり優秀とはいえない友人も、ある航空会社にパイロット候補生として入社しましたが、あいつがパイロットか、恐いな、と思ったことを覚えています。)

それに比べると、その後に訪れた就職氷河期の人達は、少ない人数で再び訪れた大量入社組を引き受けているようですから、本人達は大変でしょうが、企業にとってどちらが貴重な戦力かは言うまでもありません。

好況・不況は循環するものですから、状況を少しでも前向きに考え、不況期には不況期だからこそできることを積極的に行っていくことが大切なのだと思います。