(メルマガ)種類株式とNPB目指す野球チーム

  • レポート
  • 2020.11.15

新聞の折り込みチラシに

NPB入りを目指すプロ野球チームの一口
オーナーになりませんか?
選べる2種類1口10万円

というチラシが入っていました。

内容はこれ。
https://finance.ryukyu-blueoceans.jp/img/plan_3.png

おもしろい!

これを種類株式でやっているようです。
A1種優先株式 
 毎年2%優先配当
B1種優先株式
 優先配当なし
 但し150~200%での償還可能性あ
 り

商売柄、種類株式の話はたまに出てくるの
で興味を持ちました。

ちなみに「種類株式」とは、「普通株式」
に対しての概念で、今回のように配当が優
先されるとか、議決権があるとかないとか
といった違う種類の株式という意味です。

このA1なら、いかにも毎年2%もらえそ
うにも見えますね。
ただ、配当ですから原資となる利益が必要

プロ野球を目指している団体に、配当でき
るほどの利益が出るイメージが湧きません

目論見書がしっかり開示されていましたか
ら見てみます。

皆さんも下記のコメントと一緒に御覧にな
ると勉強になります。
https://finance.ryukyu-blueoceans.jp/pdf/%E7%9B%AE%E8%AB%96%E8%A6%8B%E6%9B%B8_MHM200924.pdf

これだけのものを用意するのはかなり大変
ですから、ほとんど手弁当で手伝っている
専門家がいるのかもしれません。

そこには、
「当社は、剰余金の配当を行うときは、・
・・A1種優先株主・・・に対し、普通株
主・・・に先立ち、A1種優先株式1株に
つき、A1種優先株式1株当たりの払込金
額相当額に、年率2%・・・の配当を行う
。」
とありました。

やはり「剰余金の配当を行うときは」です

剰余金がなければ配当はされません。
というか会社法で禁じられていますからで
きません。

会社法には、旧商法時代からの「資本維持
の原則」という大原則があって、出資され
た資本金を配当に回すようなことは固く禁
じられています。

稼いで残った利益があったときだけ、その
中から分配できるわけです。
(ちなみに、これと同じくらい重要なもの
に、資本相当額が実際に拠出されることを
要求する「資本充実の原則」というものが
あります)

じゃあ剰余金は出るのかな?
目論見書の決算書を見てみました。

直近は6月中間決算のようです。

半年で1億4百万の赤字。
純資産は△25百万で債務超過になってい
ました。
(債務超過とは文字通り資産<負債、その
マイナスで当初の出資(資本)を食いつぶ
している状態です。)

やはり厳しいようです。
配当は、あっても遠い将来になりそう。

当面配当はされない。

ただ、それをわかった上で投資するのも粋
なのかもしれませんね。

その前提で試合で応援したり、感謝祭や、
選手・監督との食事会に呼ばれたら喜んで
出かけていく。

スポーツチームのファンていうのは元来そ
んなもので、金銭的な見返りを期待してい
ないのでしょうから。

クラウドファンディングの一種なのでしょ
うが、他のスポーツ団体の参考になりそう
な気もしました。

私自身は乗らないものの、今回の取り組み
がうまくいくと良いな、と思いました。

沖縄×野球
どちらにも、人並外れた強い思いを抱く方
が多いと思うので。

種類株式でスポーツチームを応援
面白い取り組みだと思いました。

今回はNPBを目指す野球チームの面白い
取り組みをご紹介しがてら、
普通株式、種類株式、目論見書、資本維持
の原則、資本充実の原則、債務超過、とい
ったキーワードのお勉強をしました。

■まとめ
___________________

種類株式でスポーツチームを応援
面白い取り組みだと思いました。

このテーマに乗せて
普通株式、種類株式、目論見書、資本維持
の原則、資本充実の原則、債務超過
をご紹介しました。

■編集後記
___________________

突然ですが、皆さんは不安はないですか?

たぶんあると思います。
私もあります。

でも、あるのが当たり前だそうですから安
心してください。
自分だけでなく、誰もが抱えています。

先日、『プロの時間術』(上阪徹)
という本を読みました。

この方は、非常に多くの方にインタビュー
をした経験をお持ちなのですが、こう書か
れていました。

「「不安はないですか?」
それこそ芸能界のトップランナーの人から
、官僚から作家になって大臣まで駆け上が
った人まで、率直にこの質問をぶつけたこ
とがあります。
返ってきた答えは、極めてシンプルでした

「不安は消えない」
実はトップランナーの人たちでさえ、将来
への不安を持っていたのです。いつレギュ
ラーの仕事がなくなるかもしれない。いつ
連載を失うかもしれない。
(中略)
逆に言えば、だから、彼らはそこでストレ
スを感じることはない。不安に感じること
が当たり前だと思っているからです。」

もちろん、不安がある、というのは嫌な状
態です。
でも冬は寒い、と同じくらいの自然現象だ
と思って受け入れるしかないようです。

そもそも不安のおかげで、それを解消しよ
うと頑張って成長するわけで、悪いことば
かりでもないような気もしますし。