第189回 油断の対価

  • レポート
  • 2021.03.31

先日ある方からお電話がありました。

どんなお立場の方かは差し控えますが、1、
2カ月に一度くらいでしょうか。
直接ご連絡いただくことがあります。

ただ今回は、いつもとちがってちょっと変。
私は何も言っていないのに言い訳から始ま
りました。

「私はよく知らなかったんですが・・・」
「簡単だというのでついて行ったら・・・

「行政書士だというのに後で聞いてみると
・・・」
「そんなつもりはなかったんですが・・・

そこで、
ちょっと待ってください、と私。
どうしたんですか。

すると、こんな話でした。

知り合いに誘われ、紹介された行政書士と
いう人に会った。

今はコロナで支援が受けられる。
言われた通りにすれば100万円もらえま
すよ、と。

免許証とか用意してこいと言われて持って
行き、知り合いと一緒に手続きをしてもら
ったそうです。

100万円はすぐに振り込まれ、その中か
ら手数料30万円を支払いました。

ただ、しばらくすると周囲が騒がしくなっ
てきました。

その手伝ってくれた人は行政書士でもなか
ったようで、すぐに連絡が取れなくなりま
した。
同様の件で逮捕者が出ているとの報道も。

!!

自分がしたのは持続化給付金の不正受給だ。
大変なことをしてしまった。

経済産業省もこんな風に注意喚起していま
すから、すぐに確認できます。
間違いありません。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/jizokuka-kyufukin_fusei.pdf?0212

「逮捕」

頭をよぎり、恐くなってすぐに返すことに
しました。

ただ、もらったのは年内(令和2年)。
返すのは手続の関係で年明け(令和3年)。

私へのご相談は、この件、令和2年分で確
定申告すべきでしょうか、というご相談で
した。

厳密には、100万をもらったのは令和2
年だからそこで事業所得で申告?
とか考えられないこともないですが、
「返すんだから申告しなくても良いんじゃ
ないですか?」
とお答えしました。

本来もらえないものが一時的に入っただけ
ですし。

「もう何でもします」という心境だったよ
うですが、
あぁそうですか。
良かった。
ふぅ。

なんとか落ち着いたものの、今回は相当懲
りた様子でした。

「でも30万円損しちゃいましたね。」
と言ったら
「もうそんなのどうでも良いんです」との
こと。

私も、後悔しているのを見て安心しました。
「今度はうまくやってやる」とか言ってい
たら引いたと思いますが。

持続化給付金に限らず、現在行政は多くの
給付金、支援金、協力金、補助金を出して
います。

スピード重視なのでいつもよりチェックが
甘いのはたしか。

でも、それに安易に乗って不正受給するこ
とは絶対に止めましょう。

今回はなんとかセーフだったようですが、
よく分からなかった、と言って返せば許さ
れるというものではありません。

日本の社会は優しいですが、一線を越えた
人へのペナルティは粛々と進められます。

自分の名前で何かをする以上、責任は自分
にあります。
自分で考え、安易にうまい話に飛びつかな
いようにしましょう。

今回は、油断して、30万円と眠れない日
々という対価を払ってしまった方のお話で
した。

■まとめ
___________________

油断=30万円+眠れない日々

■編集後記
___________________

2022年卒の採用活動がはやくも終盤に
入ってきました。

一部の業界を除き、コロナによって就職氷
河期のようなことはなさそうですから、学
生さんたちにとってもまずまずの環境のよ
うで何よりです。

そんな中、就活サイトからは早くも202
3年卒向けの募集原稿の入稿を求められて
います。
2023年卒は
2000年4月~2001年3月生の人達
だそうです。
そんな人達がスーツを着て面接に来るのか
ぁ。
世紀をまたぐ話で、まさに隔世の感があり
ます。

考えてみれば、今面接している人達だって
既に全員平成2ケタ生まれ。

そんな若い人たちのために、今社会にいる
私たちは、良い活躍の場と良い社会を用意
しないといけませんね。

油断して無駄な時間を過ごさないように気
をつけます。