第47回 はじめて社長になるときに読む本

  • レポート
  • 2009.05.28

新聞等で予告広告が出ていたのでご覧いただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、本日表題の本が発売となります。

この本の「はじめに」にも書いたのですが、私は常々、起業される方が疑問に持たれることや知っておくと良いことには共通点がありながら、実はよく知られていない。
その原因は、それらを起業する人に向けて体系的に記した本がないことだと気づきました。

なぜなら、会社設立からその後の会計をお任せいただく新人社長の方々に、似たような質問をいただき、似たような話をさせていただくことが多いのですが、 その方々は決して不勉強ではなく、起業に関する本を何冊か読まれてから来られることが多いからです。
たとえば、書店に行くと「会社設立のしかた」といった詳細の手続き本、もしくは社長の仕事術や心構えといった大きな視点の本、いずれもあります。
しかし、その中間のものがありません。
「会社の設立のしかた」には、「取締役を決めましょう」とは書いていますが、どのように決めると会計・税務・助成金・社会保険といった観点で有利かが書かれていないのです。

また、「決算書の読み方」のような本には、自ら作る立場にある人には直接役立つようにはなってはいません。
自分で決算書を作る立場の人にとって、さおだけ屋がなぜつぶれないかが分かっただけではだめなわけですが、いきなり複式簿記や会計学の話を聞いてもわからないわけです。

したがって、この本は、会社経営の実務に当たることになった新人社長が、どのように考えてどのようなツールを使ってどう対処すべきかを書きました。
これがあれば、重要なポイントがどこか、詳細な本をどう読めば良いか、が最低限理解できるのではないかと考えています。

また、各章末には、このASCレポートと同じような内容のものを盛り込みましたので、楽しくお読みいただけると思います。
ASCレポートをお読みいただいている皆様に、是非手にとっていただけたらと思います。

本の収録内容
目次
はじめに
1. 会社設立前のQ&A
1.1. 設立は自分でできる?(できるが、プロに頼めば自分でやるより安く済むことも)
1.2. 決算月(3月に3月決算会社を設立する失敗例)
1.3. 資本金(1億円、1千万、3百万、で違う税金・配当)
1.4. 持ち株構成の決め方(みんなで等分は絶対NG)
1.5. 役員構成の決め方(みんなで役員、が損な理由とその対処)
1.6. オーナー会社スタイルは損になることも(「特殊支配同族会社」?)
1.7. 助成金を考える(設立前後にもらえる助成金)
1.8. 設立までにかかる経費の精算(設立後の会社から返してもらえる?)
コラム(会計事務所のスタイル)
コラム(ASCスタイル)
コラム(私が独立したとき)
2. 会社設立直後のQ&A
2.1. 設立後の届出1(青色申告の届出が遅れて数百万の損が出た例)
2.2. 設立後の届出2(あえて消費税がかかる事業者になる選択)
2.3. 設立後の社会保険1(実は入らない会社もあるが、その人達はどうしているのか?)
2.4. 設立後の社会保険2(役員と労災)
2.5. 役員報酬の決め方(儲かったらもらう方式はNG、ではどうする?)
2.6. 従業員の給与の決め方1(社長の奥さんの給与=月8.5万が多い理由)
2.7. 従業員の給与の決め方2(年俸制=残業代なし、ではない。)
2.8. おすすめの銀行(たとえば会社が好むネット銀行は?)
2.9. おすすめ会計ソフト(本当に簡単なのか?使いやすいソフトは?)
コラム(設立直後に殺到するダイレクトメール)
コラム(税務署からの招待状)
コラム(ためになる本)
3. 会計・給与計算のQ&A
3.1. 自社で会計・給与をしない選択(会計事務所との上手な付き合い方)
3.2. 給与計算をどうするか?(意外に難しい給与計算。給与ソフトも簡単には使えない)
3.3. 現金ゼロの会社運営(会社に現金を置かない簡単経理の提案)
3.4. 領収書のもらいかた(電車バスは?コンビニでは?振込の場合は?)
3.5. 年末調整(年1回の特殊なイベントを乗り切るには)
3.6. 社長と会社の貸し借りはどうする?(金利は付ける?その利率は?)
3.7. コーポレートカード(本当に事務作業は楽になるのか?)
3.8. 住宅手当と社宅(社宅を利用した節税)
3.9. クルマの買い方(名義について)
3.10. そもそも利益とは?(預金残高と利益は無関係。借入金返済=費用という誤解)
3.11. 資産と減価償却(10万、20万、30万の壁)
コラム(これはいくらなのか?原価計算の話)
コラム(会計と経営意思決定)
コラム(愛犬を経費にする?)
4. 決算と会社の税金のQ&A
4.1. 会社の税金(結局何をどれだけ払うのか?、赤字ならゼロ?)
4.2. 消費税を払う事業者とは?(必ずしも3期目から、売上1千万の年から、ではない)
4.3. 印紙(馬鹿にできない契約書や領収書の印紙)
4.4. 交際費の話(交際費は不利というがその意味は?)
4.5. 減価償却と決算(期末に慌ててクルマを買ってもNGな理由)
4.6. 倒産防止共済(節税にも使える国の保険)
4.7. 節税用の生命保険(いろいろあるけど、要は3種類)
コラム(経費の話:駐車違反の反則金、スーツ代)
コラム(税金を供託する?)
コラム(節税のために航空機をリースする?)
5. 資金調達(融資と出資)のQ&A
5.1. 融資と出資(融資は返せるが出資は返せない、という盲点)
5.2. オカネの借り方1(最低条件は、黒字を死守する、税金は滞納しない、そして・・・)
5.3. オカネの借り方2(銀行は、無担保、無保証で本当に貸すのか?)
5.4. オカネの借り方3(異常な盛り上がりを見せる緊急保証)
5.5. 出資の受け方1(持株割合)
5.6. 出資の受け方2(ベンチャーキャピタル(VC)との付き合い方)
コラム(上場=最高の選択?、最悪の選択?)
コラム(会社の価値)
コラム(消滅する借金)
6. 税務調査のQ&A
6.1. そもそも税務調査とは(調査がなければ何でもできる)
6.2. 税務調査を前に(会計事務所は敵か味方か部外者か?「お土産」の用意は必要か?)
6.3. 税務調査の受け方(必要な対応は?)
6.4. 税務調査の終わり方1(最後に残されるネゴシアブルな領域)
6.5. 税務調査の終わり方2(望ましい決着)
コラム(本当にあった恐い話1:東京に現れた大阪国税局)
コラム(本当にあった恐い話2:2日目に出されたフローチャート)
コラム(本当にあった恐い話3:税務署員との同伴出社)
おわりに
資料