(メルマガ)ホワイトと成長機会

  • レポート
  • 2025.03.15

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以前、毎週全従業員と順番に話をしている
と書きました。

そこで話す内容は様々で、
仕事の話はもちろん、家庭の事情、税理士
試験の勉強の状況、今困っていること、頑
張ってること。
最近はまっていること、楽しかったこと、
推しているアイドル、予定している旅行先
など多岐にわたります。

もちろん相手が転職してきた人である場合
もあって、彼ら彼女らから聞くのは前職の
職場環境だったりします。
特に前職が会計事務所であった場合、自分
たちと比べてどうなのかはとても参考にさ
せてもらっています。

その会計業界。
労働集約的な業務の性質上、かつては長時
間労働が当たり前だったのですが、他の業
界同様、全体として残業時間が減ってきた
ようです。

私達の事務所もその例にもれず、昨年の月
平均残業時間は14.2時間で、ここ数年
同じような感じです。

一方で、転職者から聞く前職では、未だに
長時間労働をしていることが少なくありま
せん。
だから辞めてきた、ということも多いので
すが、たとえば特にこの時期、つまり3月
15日を期限とする個人確定申告対応の一
~二ヶ月は、毎日終電、土日のどちらかは
必ず出社していた、とかは良く聞く話です。

このような話を聞いた当初は
「まだそんなことをやっているのか」
と自分たちの方が優位に立っているような
気持ちになっていました。

しかし最近、少し考え方が変わってきてい
ます。
待てよ、と。

そのような事務所では3年も持たずに転職
をする人も多いようですが、その3年間で
得る経験は、二度と繰り返したくはないと
言いつつも決して無駄にはなっていないよ
うだからです。

その間に知識、経験を強制的に圧縮して詰
め込まれ、キャパシティーがアップし、多
くの人はたくましくなっています。
(一方で、疲れ切ってしまった人もいるの
ですが。)

最近読んだ本『会社はあなたを育ててくれ
ない』(古屋星斗著)にはこうありました。

「2015年の若手が十年で獲得できた知見を
得るのに2023年の若手は15年かかることに
なります」

「2010年ごろまでの量的な負荷も関係負荷
も高かった日本の職場が決して良いとは思
いませんが、当時は質的な負荷を感じる機
会が多かったこともまた事実です。
土日なく、深夜まで残業して様々な修羅場
を経験して育っていた時代と比べ、いま同
じ1年間で習得できるものを増やす・維持
することは容易ではないのです」

ちょうどそれに近い現象が生じている可能
性があります。

たとえば、前職では個人確定申告の担当数
がうちの2~3倍だった。
であれば、単純にはそこで1年でできる経
験がうちでは2~3年かかってしまいます。

とはいえ、今からそちらに向かうのはなか
なか難しい。
長時間労働がよろしくない、というそのも
のは置いておいても、
そのような状況ではどうしてもトラブルが
発生します。
ミスも起こりやすい。
メンタルをやられて急に来なくなる人、辞
める人が出ます。
お客様が怒っているという事態も頻発。

どうやら、そのような事務所からの転職者
の話では、この状況に対して、当事者意識
をもって自分で謝罪なりリカバリーしろと
言っているようです。
めったなことでは上司が出て行かない。

過酷ではありますが、得難い経験にはなり
ます。
また、事務所経営者には、それを静観でき
るだけの器量・度胸があるとも言えます。

一方の私はそれができない、したくない、
という理由で今のような組織にしています。

世間的には良いのでしょうが、その代わり
に失った「知識・経験を急速に得る機会」
をどうすべきか考えないといけません。

何もこれはうちに限った話ではありません。
日本全体として、急速にホワイト化してき
たことによる弊害について、もっと真剣に
考えないといけないように思っています。

解決方法としては、もはや長時間労働は選
択肢にはできないので、
月並みですが、
取捨選択、優先順位付け、効率化、機械化
を組み合わせ、コアの部分に集中してお仕
事をする、というのが答えでしょうか。

ただこの問題、実は組織が考える以上に、
個々人が自分のために考えるべきものです。

もはや会社に無理やり拘束されてやたらと
詰め込まれる時代ではなくなりました。
会社から解放された時間で何を選ぶかはそ
の人の裁量次第です。

前出『会社はあなたを育ててくれない』
では
「会社任せ・運任せの際には顕在化しなか
ったような様々なことを若手自身が選ばな
くてはならなくなる。私はこれはある種、
とても残酷なことだと感じるのです。これ
までの若手は選ぶ必要さえなかった、また、
その結果はすべて「会社のせい」にできた
のですから。」
と書かれていました。

組織、そしてそれ以上に各個人は、ホワイ
ト化で失われるものをどう補うか。まじめ
に考える必要があります。

■まとめ
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組織、そしてそれ以上に各個人は、ホワイ
ト化で失われるものをどう補うか。まじめ
に考える必要があります。

■編集後記
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息子、娘がそれぞれ高2・中2になったに
も関わらず、校長先生の熱心なお誘いを受
け、いまだに小学校の顧問をやっています。

といっても会計税務の顧問ではなく、完全
にご意見番のような感じのボランティア。

たいしたこともしていないのですが、一般
企業の視点でお話をすることが、たまには
お役に立っている様子です。

先日も卒業式の後の食事会に参加してきま
したが、普段接しない方達との接触は私に
とっても良い刺激になっています。