第57回 成長の原理
- レポート
- 2010.03.30
取引先の社長のお勧めで、表題の本を読んでみました。
佐賀大学の先生による古い本です。
この先生は工学博士なのですが、あるとき、自分が直接の対象としている科学技術だけでなく、国・企業・組織・人間自体の成長には、何か共通の原理のようなもの(成長の原理)があるのではないか、と考えて研究し、その過程で著されたのがこの本です。
この中には、現在成功術として一般化しているものも多く含まれています(目標を明確にする。できることからすぐにやる。等々)。
ただ、私がここで印象的だったのは、「成長を志向しないと衰退する」ということでした。
ここでは目標売上を30億と置いて、そこに達したので維持を図った会社の例が紹介されていました。
その会社は30億に至ったところで現状維持の路線に入ったのですが、その結果現状維持をできたのは一時的で、その後は社内の活力がなくなり、売上も利益も減少していったそうです。
このことは示唆を与えています。
たとえば、「今の社員がなんとか食えれば良い」と思ってやっていると、その社員達が食べられなくなってくる可能性が高いのです。
私も、うちのような会計事務所の適正規模はどのくらいなんだろう?と真剣に考えることがあります。
人を増やすのはリスクがあるし、適当なところで拡大を止めて、仕事が取れた分は現在のメンバーでがんばって、成果を分かち合えば良いのではないか? などと考えるわけです。
ただ、同じ会計業界で大きな事務所を経営されている先生は明確に「1人辞めたら2人採ることを実践していたら自然と大きくなった」とおっしゃっていました。
実際はこんなに単純ではないのでしょうが、いずれにしても現状維持を目指して現状は維持できず、より強烈に成長を目指さないと成長はできないようです。
これは、会社のような組織だけでなく、人間自体も同じようです。
以前紹介した福沢諭吉の言葉にも「だいたい世の中の事は進まなければ必ず後退していく。」とありますから、まさに共通しています。
皆さんも、がんばって前に進みましょう。
***************************あとがき********************************
私共にも明後日4月1日から新入社員が入社します。
(いずれご紹介することがあるかもしれませんが、少し考えがあって、基本的に毎年新卒だけを採用し続けています。)
上記のようにいつも自問自答をしながらのわけですが、うちも現在のような景気状況とは決して無縁ではないので不安もあります。
ただ、一方で若い戦力によって、事務所が活性化されることは確かで、それにより生まれた余力(悪い言い方をするとヒマ)や多様性が、新たな成長を必然的に求めるようになるので、1年・2年経ってみると、あぁあのとき採用をして良かったな、ということになります。
こんなことを繰り返しながら、私共ものろのろ成長しようとしています。