第71回 中小企業のM&A

  • レポート
  • 2011.05.30

M&Aと聞くと大企業のやることだとお考えの方も多いと思います。

M&Aとは、買収や合併、その類似の手法を含む組織再編全般のことを指しますが、最近では中小企業同士のM&Aも多くなってきています。

そして、その数は今後もっと増えていくと思われます。

なぜか?

確かに、ここ1、2年の間はスマートフォン対応を前に、携帯コンテンツ業界の間で起こっている再編の流れはあるのですが、それよりももっと大きな長期的な流れです。

事例を交えて考えてみましょう。

中小企業経営者のA社長
(1)若くして東京に出てきたたたき上げで現在65歳。
(2)息子と娘が一人ずついる。
子供に良い教育を受けさせたおかげで息子は医者になった。
娘は一流大学を出て、既に嫁に行っている。
(3)一緒にやってきた5才年下の専務がいる。
完璧ではないが経験・能力とも信頼している。
(4)従業員が30名ほどいて、平均年齢は40歳手前
彼らにも家族がいて、時折会社全体の行事で集まることもある。
(5)会社には1億円の借入があり、自分が連帯保証をしている。
(6)株はすべて自分が保有している。
相続税が心配で、以前顧問税理士に評価してもらったら株価2億円と言われた。
(7)事業は、新興の元気の良いライバル会社が出てきて衰退しつつある。

珍しくない中小企業経営者像です。

さて問題です。
A社長が引退するにはどのような方法があるでしょうか?

一般的には次のような方法が思いつきます。
・息子への社長交代
しかし、今回息子さんはお医者さんです。
(実際、成功した経営者のご子息は高学歴で、家業とは別の道を歩まれているケースが多いようです)
息子さんは、小さい頃からかわいがってくれた専務や従業員がいる会社のことは気にはなるものの、自分が継ぐことは難しいと思っています。
また、A社長自身、慣れない事業で借金を背負わせて息子を下り坂の会社に入れるのは避けたいと思っています。

・専務への社長交代
専務はやっても良いと言ってくれました。
経験・能力も信頼できます。
ではお願いできるか?
通常できません。
なぜなら、銀行が1億円の連帯保証を専務に引き継がせることを拒否してきます。
また、専務が2億円の株式を買取ることは難しいと考えられます。

ではいっそのこと廃業するか?
30人の従業員とその家族のことを考えるととてもできません。

そんなとき、新興の元気の良いライバル会社へのM&Aでうまくいくケースがあります。
もちろん、M&A後の社風の違い等の心配はありますが、これなら、皆がハッピーになる可能性が残ります。
社長も事業の心配がなくなり、相続も現金で備えることができます。

現在このようなM&Aの仲介をする会社が大きく業績を伸ばしています。
ちょうど結婚紹介会社のような立ち位置なのですが、震災があった3月にも、例月と変わらず30件近いマッチングが完了したということでした。

私も来週、あるクリニックのお客様のお求めに従い、この会社の担当者と出かけてきます。

こうした流れが加速している、ということは気に留めておくと良いと思います。

ただ、今ご覧の方は買う方かもしれませんね。
M&Aを事業拡大の一手段とすることは、中小企業間でも今後当たり前になると思います。

*********************** まとめ *****************************

中小企業間でもM&Aが日常化しつつある。

事業の一手段になると認識しておくべき。

*********************** あとがき ***************************

お客様で
http://www.residensea.jp/index.shtml
この船に部屋を買いたいという方がいました。

分譲マンションの感覚で、最高の部屋は7億円とのこと。
(安い部屋だと1億以下のものもあるそうです。)

PTになる目的で世界の富豪が買っているのだとか。

PTはご自身で調べると良いかもしれませんね。
P=Permanentの略です。

どんなに税金が高くても、政治が三流どころか五流でも、原発が変な動きをしていても、日本と日本人が大好きな私はあまり魅力を感じないのですが。。。