第3回 会計ASPの可能性について
- レポート
- 2002.07.05
今回は、会計ASPの可能性についてです。
ASPとは、ご承知の通り、Application Service Providerの略で、ネットワークを通してソフトウェアを利用させ、その利用に応じて料金を徴収する事業形態を言います。
昨年・一昨年あたりには、多くのASPが登場し、可能性が提示されました。 それらは、グラフィックツールであったり、料金課金システムであったり、認証システムであったりするわけですが、その中に、会計ASPというものもありましたし、現在もあります。
会計業界にいるとそうした発表会にご招待いただくことがあったり、資料をいただいたり、ネット上で見たりすることがあります。 その結果、ASPは、会計事務所と顧客が同じデータをネットで見ることができる、顧問先の指導にバッチリ、というPRはその通りだと思いました。
また、複数拠点を持つ企業にとって、非常に低いコストで分散入力・データ共有が可能となる、という点でも、非常に魅力的なのではないか、思います。 しかし、同時に、昨年の春頃の段階では、まだまだ制約があると思いました。 (あくまでも、中小企業とそれを顧客に持つ会計事務所双方を念頭に置いた際にです。)
それは、
1)高速の常時接続環境を持つ顧客・会計事務所ともに少ない
2)提供されるソフトが、これまで顧客・会計事務所ともに使ったことがない(実績のないソフトである)
3)月額利用料が1.5万~5万円である。 ということでした。
しかし、これらは、わずか1年ちょっとしか経っていない現在、大きく改善されています。
まず、 1)です。速度の遅く、従量料金のダイアルアップ接続では、会計伝票の入力等はとてもできませんが、現在は、ブロードバンドでの常時接続は当り前になってきました。
弊社のお客様でも、ADSLベースでつながっているところは実に多くなってきましたし、この点は昨年と大きく違うところです。
また、 2)ですが、最近、中小企業に良く利用されている会計ソフト会社が、その機能やオペレーションをそのままにネットで提供しようとしています。お客様が使うソフトは会計事務所側でも使えるようにしていることが多いので、これが実現すると、導入に対しての技術的・心理的障壁はなくなると思われます。 弊社では現在、お客様が入力したデータをメール添付で送ってもらい、それを確認する、というようなことをしていますが、いつも使っているソフトで、まったく同じものを見て直接修正しあう、ということができれば、非常に素晴らしいし、利用したいと思います。
そして最後の 3)です。 中小の会社にとって、会計ソフトだけに毎月5万円を支払うところはあまりないと思います。 会計事務所側も、顧問料より高い会計ソフトの利用料金をお勧めすることはできません。 ただ、これが数千円の単位になってくると話は別だと思います。 実際、このレベルで提供されている会計ASPは既にありますし、今後も増えてくると思います。 こう考えると、あり得ないとさえ思っていた会計ASPも、むしろ当たり前の選択肢になり得る時期も近いのではないか、という気さえしています。
ASCでは、それら環境変化をとらえながら、お客様の立場に立って、より良い会計処理環境を提案していきたいと考えています。