第13回 最低資本金規制のゆくえ
- レポート
- 2003.12.26
会社法(仮称)の制定準備が進んでいるようです。 現在分かれている商法の株式会社に関する部分、商法特例法そして有限会社法をまとめて現代語化して1つの法律にしようというものです。
新聞等でも伝えられているとおり、最低資本金規制についても話が及んでいて、下記3案を含む試案がつい先日(12月24日)まで、法制審議会により公表され、意見募集されていたところです。
「(抜粋)第2 設立等関係
1 最低資本金制度
(中略)
(1) 設立時における払込価額規制 株式会社・有限会社の設立に際して払い込むべき金銭等の価額(設立要件としての最低資本金(株式会社:1,000万円,有限会社:300万円))については,以下のいずれかの案で見直しを行うものとする。
a案 株式会社について,現行の有限会社と同額の300万円とする。
b案 株式会社・有限会社について,300万円よりもさらに引き下げた額
(例えば100万円,10万円等)とする。
c案 設立時に払い込むべき金銭等の額については規制を設けない。
(注) b案又はc案を採用する場合において,法人格濫用の防止の観点から,例えば会社の不法行為に関する会社関係者の責任の強化等の措置を講ずるかどうかについては,なお検討する。 」
したがって、現時点でどのような形に落ち着くかはまったく決まっていないわけですが、お客様から、 「株式会社も有限会社と同じ資本金で良くなるみたいですね。」 「今の有限会社のまま株式会社になれるという話を聞きましたが。」 「確認株式会社で立ち上げたけど、これで5年以内に増資する必要がなくなるということでしょうか」 という、少し先読みしすぎたようなお話を伺うことがあります。
たしかに、経済産業局による、いわゆる1円会社の設立が認められてから私共のお客様の中でも同制度を適用して会社を立ち上げる方が増えてきました。 そしてご存知の通り、株式会社であれば5年以内に資本金を1000万円にしなければいけないわけですが、上記の法制化により、直ちにその義務がなくなるとか、現在300万の有限会社がそのまま株式会社になることができる、というのは早計のように思います。
気になるところかとは思いますが、今回の制度改正にしても、早くても平成17年の国会提出が目標のようですから、議論のゆくえを注視しつつも、あまりあてにすることなく、現在の制度における最良の選択をこころがける、というのが重要ではないかと思います。