第20回 公正取引委員会から排除勧告

  • レポート
  • 2005.12.06

お客様の取引行に公正取引委員会の排除勧告が出されました。 お客様はこの銀行さんから億単位の融資を受けています。 金利は1%台半ばでかなり有利な融資条件ですが、そこに新聞紙面を最近にぎわしている問題の金利スワップ取引が絡んでいます。

変動金利と固定金利を交換するもので、この低金利が続くと誰もが思っている状況下ではかなり不利な取引で、実際、毎月の実質的な金利負担は膨大な金額に上っています。  お客様もこれには閉口していて、これなら3%やそれ以上でも、紐が付かずに貸してくれる他行の方がずっと良いのになぁ、と思う反面、これを飲まずに融資を受けられない、というようなことがあるととても困る、ということで受けてきた、という状況のようです。

中小企業というのは、銀行さんに言われてしまうと多少の無理を聞かざるを得ない、というのが実情で、そのお客様はこのスワップ取引だけでなく、その銀行さんが連れてきたグループの保険会社の多額の経営者保険にまで入って協力する始末です。

どこまで強制されたか定かではありませんが、少なくとも金利スワップも、節税を主目的とした経営者保険も、私が見る限り現在のお客様の会社にとって必要なものには見えませんでした。

このような状況を目にしておかしいなぁ、と思っていても勝手にでしゃばって融資に支障をきたすようなことがあればご迷惑をおかけしてしまうため、私としても傍観者の立場を保たざるを得ず、それどころか銀行さんに言われたとおりの資料を出せるようにお客様にアドバイスする、というなんともいえない立場で、そのような状況に残念な気持ちでいたところです。(今でも具体的な金額や取引条件を出してお客様が意地悪をされたりしてご迷惑のかからないように慎重に書いています)

それが、今回のような排除勧告の報に接して、少しおおげさかもしれませんが、世の中捨てたものではないな、という気がしました。

それにつけても官から民へと叫ばれている中、銀行は果たして何なのか?という疑問を感じることがあります。
私も商売柄、融資先になりそうな案件を抱えていると思われ、お声かけをいただくことがあります。たまたま今回の問題の銀行ですが、そこの別の支店の法人担当から電話があって、融資先があればご紹介してほしい、ついては課長が会いたいと言っているので来てほしい、ということでした。私もお人好しなのか行ってみたところ、まさに「お客さんを紹介してください」、でした。

どこの世の中に、呼びつけて、「お客さんを紹介してくれ」、と申し付ける商売人がいるのでしょうか。

今年各行とも近年まれに見る好決算ということで、それ自体は喜ばしいことだと思います。多少上がっても知れているので、金利を上げろとか言うつもりはありませんが、銀行さんには、少なくとももう少し社会のためになる存在であるべく、力を尽くしていただきたいと思うところです。